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こんな試練を与えられる人もいる

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先日は竹久夢二の絵のモデルになった女性の半生を書いた本のご紹介(→竹久夢二の美人画のモデル)でしたが、今回はまた別の国、別の時代、別の世界、女性の半生を書いた本をご紹介します。(米原真理さんの本でも後に紹介されていました!)
 
彼女の名はプーラン・デヴィ文盲なので語りで記録した自伝ということが最初に書かれていて、衝撃的な話から始まります。
インドのカースト制度の最下層に位置に所属するプーランの凄まじくドラマティックな半生。
こんなことがこの時代になってまだあるの!?と思いながら、手も止められないほど一気に読んでしまった本です。

  上下巻があります。

1996年のインド統一選挙で、文盲の国会議員が当選した。プーラン・デヴィ。かつては盗賊の女王と呼ばれたインド民衆の英雄である。義賊の女首領、司法取引による投降、そして11年にわたる獄中生活の後に、彼女が国会で目指したものは何か。そして、波乱の人生を駆りたててきた来歴とは、一体どんなものだったのか――。

本書は、否応のない境遇に反旗を翻したひとりの女性の物語だ。運命に翻弄され、それに決して服従しない魂が出会った苛酷な事態が、上下2巻の詳細な口述筆記をとおして語られている。訳文は読みやすく、優れたノンフィクションという以上に、エンターテイメント活劇として1級品の魅力がある。

インドの文盲率は60パーセントだという。これはカースト制度の遺習によるもので、国家の教育制度をうんぬんする以前の問題である。つまり、プーランは国家を超えた社会・文化のすべてに向かって反逆したのだ。

11歳で結婚を強いられ、虐待されて婚家を追われたプーラン。その後に待ち受けていた村八分、レイプ、盗みの濡れ衣。盗賊に誘拐されて変転を始めた皮肉な運命と、復讐を契機に始まる人間的な覚醒。

圧倒的で底のない社会制度の中で、プーランが見つけ出したものに拮抗する言葉は、彼女自身の次のコメントをおいてないだろう。 ――わたしは敬意を払ってほしかった。「プーラン・デヴィは人間だ」と、言ってほしかった。(今野哲男/アマゾンより)

この引用の後半にあります11歳で結婚を強いられて~から始まる凄まじいストーリーと展開の大きさと早さに圧倒されます。プーランという人を知っていて読み始めたわけではなく、ふいに手にとって読み出したので、これが真実のストーリーだと信じられない気分でした。でも実在する、いえ、した女性です。

プーランはその後国会議員になり、この上下巻ではそこで話が終わりますが、何年か前に暗殺されたのです。

私が初めてこの本を手に取ったのは2000年頃で彼女はまだ活躍中でした。
ショックでした。
こんなに激しく生きる人がいるなんて。
同じような試練を与えられたら私はどう生きるんだろうと考えさせられました。

難しい本ではありません。
インドのカースト制度や田舎に興味があっても良いと思うし、国会議員までになった女性の半生と読んでもいいし、書評の例のようにエンターテイメントの活劇として読んでもいいと思うのです。

そうそう、

 

こちらの米原真理さんの本で紹介されていました。見つけたときには嬉しかったです。共感してくれる人がいる気がして。

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