現在は状況が異なる可能性がありますのでご注意ください。
渋谷までの回数券が余ってしまったので、Bunkamuraの絵画展にでも行こうとおひとり様計画をしました。
今回は『夢見るフランス絵画』展。(会期、2014年10月18日~12月14日)
モネ、ルノワール、セザンヌ、シャガール・・・、知られざるコレクション一挙公開!
とあり、正直、目新しさを感じていなかったのですが、これがなかなか良かったので、ご機嫌で帰ってきました。
およそ70点の作品は絵画ばかりです。
(ポール・セザンヌ 《大きな松と赤い大地》1885年)
※ブログの画像はパンフレットからです。色彩もタッチも明確ではなく、歪んでいますがご容赦下さい。
セザンヌはくすんだ色合いを使うのに絵には透明感がありますし、モネはモネだけの絵画展を何度かみていますので、素敵ですが驚きはありません。
でもモネの絵は穏やかでじっと美しい景色を見入ったまま時の流れなんて気にならなくなってしまうような感覚を覚えるのは何処で観ても変わりません。
モネの絵に激しい感情は見えず、心を癒してくれるようです。水面のキラキラを見つめるような気持ちです。
(クロード・モネ《睡蓮のある池》1919年)
展示作品はチケットやパンフになっている、「睡蓮のある池」もその一つ。2分割された絵の右側の部分の絵がありました。右の部分の絵はほぼ正方形だと思われます。2枚あれば横長の作品になるでしょう。
(クロード・モネ《エトルタ、夕日のアヴァル断崖》1883年)
やはりモネは人気も知名度も高いので、Bunkamuraでも押してくる感じですね。
(ピエール・オーギュスト・ルノワール《ド・ガレア夫人の肖像》1912年》
ルノワールは陶器の絵付け職人だったそうです。画家の中にはこういった職人さん系の方がいらっしゃいますが、絵を観るとなるほどと思います。
裸婦の絵などは、びっくりするくらい女の人が太っていて、美意識の違いを感じてします・・・。
このド・ガレア夫人なんて許せる方です。この絵の夫人、優美で美しく着飾っています。この画像ではわかりにくいのですが、赤や青、金が登場する感じですね。靴が金色に光っています。
ルオーはステンドグラスの修業の傍ら、装飾美術の学校に通っていたそうで、絵に輪郭をとるような黒くて太いラインを入れることが多いのですが、それがまるでステンドグラスのようなんですよね。
ヨーロッパな感じというより、どこか東洋的な色彩を感じます。晩年は黄色や緑を基調とした絵も残しています。
ヴラマンクの作品もたくさんありました。
実は今までよく知らない画家でした。すっきりと思い切りよくキャンパスに筆を当てた画が、観る側の内面に孤独意識を向けさせるような作品。ちょっと物悲しさを感じます。花と花瓶の絵だけは生気があってホッとさせられます。
(ラウル・デュフィ 《ニースのホテルの室内》1928年)
デュフィの作品はコラージュ的な作品が紹介されており、布地のプリントのようだと思っていましたら、実際布地のプリントも手掛けていたそうです。
「エッフェル塔」という作品は、鳥の目でみたパリの絵が描かれていて、いわゆる鳥瞰図というやつですけれど、古紙に描きつけたような作品で、観たように描いているのではなく、頭の中で浮かぶパリ市内の観光名所をあれこれと書いています。シャンゼリゼ通り、コンコルド広場のオベリスク、1937年まで存在したトロカデロ宮殿などです。
なかなか魅力的な作品でポストカードを買おうかと思っていたのですが、大きな作品をそのサイズにすると、随分面白みが欠けてしまい、全く違った印象になってしまうので止めてしまいました。
パンフの画像はエッフェル塔の方とは違って、コントラストのはっきりしたホテルの室内ですが、比較的小さな作品です。構図の取り方が絶妙です。
今回の展示の中では画家ごとに展示されていてその作風をそれぞれ堪能していたのですが、一番目を見張ったのは、モーリス・ユトリロです。
本物のユトリロの作品をまじまじと観たのは今回が初めてです。いえ、観たことがあるかもしれませんが、今まで気になったことがありません。
絵画関係の本を何冊も持っているのですが、ユトリロの作品が紹介されているものもありました。でも今までは全然興味を持ってこなかったのに、今回虜になってしまいました。
あまり恵まれない家庭に育ち、大人になってもアルコール依存症。その治療の一環として絵を描き始めたそうですが、親として不出来な母も画家で・・・。まともにユトリロを育てていないようですが、しかし絵の才能というのは後天的なものではなく、受け継ぐのでしょうか。
ユトリロの白の時代と呼ばれる作品が多く紹介されていましたが、本当に美しいです。
ユトリロはモンマルトルの周辺を題材にした絵を多く残していて、建物の白や雪の白。美しくもなじみような美しいレトログリーンやレンガ色がかった赤、オレンジがかった黄色などを使っています。
本物を目にして初めて素晴らしさに感激しました。ポストカードでは色彩の美しさは到底表しきれていないのですが構図も奇を狙ったわけでもないのに気に入って2枚買ってしまいました。
(モーリス・ユトリロ 《サクレ=クール寺院の丸屋根とサン=ピエール教会の鐘楼》 1926年)
※ポストカードより。焦って撮影しているので、私の影が入り込んでいます。
(モーリス・ユトリロ 《雪のモンマルトル界隈》 1943年頃)
※ポストカードより
マリー・ローランサンは過去に観たときと感想は違いません。
ピンクや白、明るいベージュだの、優しい女性らしい色合いでホッとします。
(アメデオ・モディリアーニ《バラをつけた若い婦人》1916年)
モディリアーニは特徴的なあのながーい首を描く画家で、絵を観ながら超イケメンだったその面影が浮かんでしまいます。今回2作品しかなかったので猶更。
どうして彼はこういう描き方で女性を描きたかったのかが私には理解しづらいのですが、日本風に表現するなら、柳腰の・・・というような女性がタイプだったのでしょうか?
藤田嗣治・・・。別名レオナール藤田。芸大を出てからパリに留学した藤田嗣治さん・・・。面相筆を使うのか精密画のような繊細な線を使い、絵は墨絵と洋画を融合したような作品が多かったです。
少女を描いた作品は、人間の少女を正確に描こうとしたものではなく、彼の中の女の子のイメージなのだそうで、吊り目でおでこの広い、頭が大き目なお人形のような姿です。
ジョジョ~でおなじみの荒木飛呂彦さんの絵に似ているなぁ・・・・。荒木さん、藤田さんの影響を受けているのかもしれないな、なんて勝手に思ったりして。
シャガールも4作品ほどありました。
小さい頃から好きな画家なので、シャガールの絵画展をいくつか回っている身としては、もっと好きな作品がたくさんあるな、とは思いましたが、サーカスや道化師、雄鶏といったシャガールらしいモチーフには嬉しくなりました。
他にもキスリング、ボナール、アルベール・マルケ、シスレーの作品がありましたが、この絵画展、期待していた以上に楽しめてひとりで出かけましたが、すごく幸せな気分になりました。
展示室は作品の保護の為に22度前後、湿度50%程度に保たれているので、服装によっては若干肌寒く思われる方もいらっしゃるかもしれません。ブランケットの貸し出しをしているそうです。
ちなみに私はこの絵画展を2時間半かけて観ました。
普通の方より若干時間がかかっているようです。今回音声ガイドを使わなかったので、それでも短い方です。
大体半日かかると思って予定していますが、いつもたくさん心と頭を一杯にし、自分の言葉で落ちてくるのに頭の中整理が大変です。
この後、夢見心地なので、電車を乗り間違えたり、乗り過ごしたり。転んだりしないか心配になりますが、本当に幸せで世の中の景色が生まれ変わったようにみえてきます。
贅沢な時間の過ごし方だとは思っています。
でもまた、絵を観に行きたいな・・・。
Bunkamura『夢見るフランス絵画』
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_france/index.html
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