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嘘つきアーニャの真っ赤な真実

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お見舞いコメントありがとうございました!!
比較的熱は低めだったと思いますが、3日間寝込んでしまいました。まだ本調子では無いけれど、頭の痛みがだいぶ取れて少し楽になりました。
まだ、咳も出ています。喉も痛い~!

良かったのは寝ながら本を読む元気はあったこと。
頭に冷やしタオルを起きながら読書していました。

図書館で借りた本、ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)タクアンの丸かじり (文春文庫) 嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)と3冊読むことができました。
 

この中で一番面白かったのは「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」かな。

ロシア語通訳者の米原万里さんが、プラハのソビエト校時代の友人の安否が気になって、休暇を使って諸国をさがし歩くのですが、その中のいろいろなヒントで友人の昔の行動や言動のバックグランドなど、様々な謎が解けていきます。
タイトルにはアーニャが出てきますけれど、他にも何人かの友人の消息を探します
その背景には共産主義社会の実情やら、歴史的な背景やらあるのですが、実話なのに読み物としても相当面白い。私は政治的主義はありませんが・・・。

打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)
・・・を以前読んでいますが、この本もかなりすごい本だと思います。
これから読む方の事を考えてここで抑えてご紹介しましたが・・・・。

日本人が世界を知ろうとするとき、どうしても英語を使って捉えようとするのですが、その他の言語を操れる人たちは別な方面から情報を得ることができるようです。

 

私の読んだのは前嶋信次さんのアラビアンナイトですが・・・。
今までアラビア語から他の言語(たとえばバートン訳などありますよね。)に訳したものをさらに邦訳するという手順で私たちの手元に届いていたわけですが、前嶋さんはアラビア語から直接訳されたのですよ。
すると訳に訳を重ねるうちに省略されたり、分かりにくくなる部分が少なる可能性が出てきます。ダイレクトに訳すって大事なことなんですね。(本を読んで頂くと分かるかな。)

では日本語を取りやめて全て国際共通語にしてしまえ、とか英語にしてしまえ、という考え方も一方ででてきそうなのですが、これについてはどうなのでしょうか。

小さな島国の日本人がノーベル賞の受賞者が多いのは自分の言語で考える力があるからとも言われています。

今年のノーベル物理学賞受賞者は日本人一色だ。高エネルギー加速器研究所の小林名誉教授、京都大の益川名誉教授と日系アメリカ人の南部シカゴ大名誉教授だ。日本は1949年に湯川秀樹が物理学賞で初のノーベル賞を受賞して以来、物理学賞受賞者だけで7人になる。今年も受賞者をまた輩出した化学賞に医学生理学賞を加えれば受賞者は13人になり、この分野の国家別順位でも世界7位だ。

日本の物理学賞受賞者たちは専ら日本で大学を終えたが、特に今回の受賞者3人はいずれも最終学位まで日本で終えた。80代の南部教授は1952年にプリンストン大招聘を契機にアメリカに定着したものの東京大学で勉強したし、60代の小林・益川教授は名古屋大で博士課程まで終えた。今回の受賞対象となった「小林・ 益川理論」自体、2人が大学院生と研究員として出会った名古屋大で誕生した。

日本の基礎科学がどうして強いのかについては様々な理由があるが、私が見るに、日本語で学問をするという点も大きいようだ。基礎科学、特に物理学のような分野は物質界の作動原理を研究するものであるから、どの分野よりも深みがあり独創的な思考が重要だ。深みがあり独創的な思考をするためには、たくさん思考 せねばならない。そのためには基本的な概念を早くからきちんと身に付けねばならない。南部教授は小学校 のときに理科の時間に感じた興味が彼を科学者に導いたという。基本概念はどうすればきちんと身につくか。 理解しやすい言語で科学を説明することから始まるはずだ。

日本は初等・中等過程はもちろん、大学でも日本語で科学を教える。そのため、西洋で発達した科学を日本語に訳すのを当然の基礎過程だと考えている。漢字文化圏である東洋4国があまねく使っている「科学」「化学」「物理学」などの用語自体が、アルファベット圏言語を自国語で把握しようとした日本の知識人たちによる 翻訳の所産だ。「素粒子」「陽子」「電子」などの用語も、すべて日本人が作ったものだ。

そのおかげで、日本人にとって世界的水準で思考するということは世界で一番深く思考するということであり、英語で思考するということではなくなった。これは外国語が苦手といわれる日本人たちが基礎科学分野で ノーベル賞を多く取っていることや、益川と小林の研究が日本の大学から誕生したことにもよく現われている。

一方我が国は、小学校・中学高校過程では科学の基本概念をきちんと把握する教育をしないで、大学に入ると突然英語で科学を教える。名門大学であればあるほど、理学部・工学部・医学部の物理・化学・生理学 などの基礎分野に英語教材が使われる。内容理解だけでも不足な時間に外国語の負担まで重なっては、 韓国語で学ぶ場合に比べると半分も学べない。韓国の基礎科学は外国に留学に行くことを初めから想定 して教えているわけだ。

教授たちは、基礎科学分野の名著がまともに翻訳されていないからだと言うが、このように原書で教えていては翻訳する意味がなくなる。韓国語なら10冊読めるであろう専攻書籍を、1冊把握することも手に負えないから、基本の面で韓国の大学生たちが日本の大学生たちより遅れるのは当然だ。大学を出ても学んだものが無いという現象も、ここから生じているのだ。

大学の基礎科学教育を世界的な水準へ高めるために外国の碩学たちを連れてくるのに国はお金を惜しまないという。ちょっと聞くと素晴らしいことだ。ところが、果たして全国の小学校と中学・高校で科学の実験は 思う存分できるか。初等・中等過程と大学過程で科学を正しく理解する基礎は用意されているか。世界的な水準で思考するということは、英語で思考するということではなくて世界で一番深く思考するということだが、それ実践する土台は用意されているか。ハングルの日だから言っているのではない。

▽ソース:韓国日報(韓国語)(2008/
10/09 03:07)
http://news.hankooki.com/lpage/opinion/200810/h2008100903073967800.htm

引用させて頂きましたが、これは日本人が優秀と言うことを言いたいのではありません。ご紹介した記事はこれは一方からの見方で、英語で勉強する韓国の方法も利点はたくさんあり、韓国と日本、どちらが優秀かなんて話ではないのですよ。お隣の国ですから互いにもっと知って仲良くしていきたいと思っています。

いまゆとり教育の弊害もあって、日本人の子ども達の考える力は昔に比べて劣っています。この記事の日本の学生というのも今現在の日本の学生のことを指しているわけではないんですよね。
一方で韓国の子ども達は直接みたわけではありませんが、日本以上に受験熱があり、ストイックにみな一生懸命勉強しているようです。
勉強が飛び抜けて良くできる→ノーベル賞ではありませんが、私がここで触れたいのは母国語で考える重要性であって、どこの国民がどこの国民に比べて優秀だとかそんな話ではありません。

米原万里さんも医学シンポジウムなど専門用語の飛び交う場所で日本語とロシア語の間で苦労されています。だって日露の医学事典なんて無いわけですよ。(何十年も前に1冊あったかな。)殆ど分からない単語を前もっていろいろ調べて当日を迎えるわけで同時通訳者が1日12万の日当なのも分かる気がしました。そんなお話しも出てきます。 ノーベル賞を受賞するに運もあるのかもしれませんし、私には語ることが出来ませんが、日本語でしっかり考えるということの大事さ、改めて再認識させて貰ったのが「ガセネッタ・シモネッタ」なのです。

アラビアンナイトやノーベル賞の話は米原さんの本には全く出てきませんので、あしからず。
読み物として面白いのは「嘘つきアーニャ・・・」の方ですのでよろしくお願いします。

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