現在は状況が異なる可能性がありますのでご注意ください。
武川町の国指定天然記念物の舞鶴松に松くい虫がついてしまったと父(北杜市在住)から聞いていました。
そして木を切ってしまったって。
あんなに生き生きとしていたのに、まさか。
(2004.10.24 雨の舞鶴松)
舞鶴松(昭和9年1月22日国指定文化財指定)
樹種はアカマツ。北海道西南部、本州、四国、九州,朝鮮半島、中国東北部などの広い地域に分布しているが、特に当地のような乾燥して日当たりのよいところには成育しやすい。
名称の由来は、傘状の枝が階段状になり、全体の樹形が優美で、ちょうど鶴が舞う姿に似ているところからきている。
寺記によれば、開創当時は老杉や古松がうっそうとしており、その中で特に樹形が美しいこの松を愛育してきたもので、樹齢約450年といわれている。
全体が約370本の支柱で支えられている。規模 根元の周囲 4.0M。樹高 9.0M。
枝張り東 2.6M。枝張り 西 16.5M。枝張り南 6.0M。枝張り北 8.8M。
目通り 3.7M。総枝周り74.0M。
(平成10年3月1日)
とにかく青々としていて美しい松でした。
樹齢450年なんて聞くと古木のように思われるかもしれませんが、見た感じはよく手入れもされて、伸びやかに大きく育っている感じがしました。
すぐ近くの先日ご紹介した山高神代桜(記事>>日本三大桜 山高神代桜)が苦悩しながら生長したとするなら、こちらは裕福で苦労せずに育ってきたような感じなのです。
それが・・・、
完全に切られています。
比較の為にアンを立たせてみましたが、その大きいこと。
松くい虫にやられるとあっという間とは聞きましたが、完全に切り倒さなければならないほどの事態だと思わず、私もしばし放心状態でした。
つい先日。3月26日に切られたそうです。
松くい虫にやられた木は他の木に拡大することを防ぐために切り倒し、薬剤を散布し、焼却処分するのが一般的なのだそうです。
確かに舞鶴松の木の内側が朽ちています。
松くい虫(マツ材線虫病)
マツノザイセンチュウ(以下線虫)が感受性マツに侵入すると、まず樹脂滲出が停止し、次いで仮道管の閉塞によって材の通水阻害が生じ、最終的に萎凋枯死に至る。これに媒介者となるマツノマダラカミキリ(以下カミキリ)とOphiostoma属などの青変菌が関与した感染サイクルによって大流行が生じた。
世界三大樹木病害(ニレ立枯病、クリ胴枯病、五葉松類発疹さび病)に本病を加えて世界四大樹木病害と呼ぶことがある。
外見上は、盛夏から秋にかけてそれまで正常であったマツの針葉が急速に褐変して枯死する。多数の個体が同時に発病すると、さながら紅葉のような様相を呈する。しかし本物の紅葉とは異なり翌年の芽吹きはなく、林分内のマツは数年のうちに次々と枯損して大多数の個体が失われる。枯損木はよく風雨にさらされ樹皮を失って「白骨化」し、徐々に朽ちてゆく。
後述するように針葉の褐変は症状の最終段階であり、それに先だって外見は正常なまま樹脂の滲出が停止する。早期の診断には樹幹にピンを刺したりポンチで穿孔したりして樹脂滲出異常の有無を調べる。
条件によっては典型的な経過とならず、樹脂滲出が止まっても外見が正常なまま翌年まで生存することがある。冷涼な地方ではこのような経過をたどる個
体が温暖な地方より多い。それらの個体は翌年の春から初夏に枯死して「年越し枯れ」と呼ばれたり、さらに遅れて通常のマツ枯れシーズンに至って枯れて「潜
在感染木」と呼ばれることもある。これらはカイロモンとなるエタノールやテルペン類を発して性成熟したカミキリを誘引するため、防除の障害となる。
切られてしまった舞鶴の松。
どうなってしまうのだろうと気がかりでした。
やがてシートがかけられてしまい、後に見えるのは2カ所のシートがかけられた場所と、だだっぴろい芝生。
お別れができたのは良かったのかもしれないけど、なんだか無性に寂しい気持ちがしました。
舞鶴松が元気だった頃は大型のバスがツアーで観に来ることもありました。
今はただ、無常を感じます。
神代桜を観に行ったのはこのすぐ後(車で約5分ほどの距離)だったのですが、なんとももの悲しい気持ちの中でした。
舞鶴松
山梨県北杜市武川町三吹2910-1 萬休院
駐車場あり(無料)
入場料等もありません。