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北八ヶ岳で。

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現在は状況が異なる可能性がありますのでご注意ください。

ゴールデンウィーク、北杜市滞在。
私たちにはいくつかのプランがありました。

北八ヶ岳へ

(※思わせぶりな記事の続きです。何が起こったのか。)

そのひとつが北八ヶ岳の白駒池に行くこと。
白駒池がどんなところかは、改めてお話しするとして、とにかく子ども達と出掛けたかった場所でした。
かくいう私も一度行ったことがあるきり・・・。

その日私たちは標高2000m以上の位置にある白駒池を目指して、私たちはメルヘン街道をドライブしていました。
4月中寒い日が続いていましたが、この日は天気もよく気持ちの良いスタート。久しぶりの爽やかさ。
ドライブ中の景色も良好で、美しい白駒池との再会を楽しみにしていました。

案内板

 

標高2000mくらいのところでは展望台があり、薄ぐもり。でも晴れていれば南八ヶ岳、南アルプス、中央アルプスがくっきり見えるハズ。

食事をする人

展望台の下には木製の 大きなテーブルとベンチがあり、その時は登山客がちょっとリッチなお食事を用意されているようでした。最近アウトドアに興味を持ち始めた私たちにはその姿が羨ましくて。今度はここでお昼を食べてみたいなぁ、と呑気に考えていました。

展望台にて
 

標高が高くなると、高木が育たなくなり木 が低くなってきます。
子ども達もそれに気付いて「どうして~?」と。
夫が「空の天井にぶつかっちゃうから、のびれないんだよ。」
こんなことばかり子ども達に言うので、子どもはパパの言うことを少し信用していません。
「ママ。パパの言うことほんと~?」っていつも。

メルヘン街道は2車線ではあるものの、道は細くくねくねした峠道です。
行楽日和だけあって、ツーリングの方も多く、その日は何台ロードスターを見たでしょう。青天井の車に乗るにはとにかく気持ちのドライブ日和でした。
それからツーリングのバイクもたくさん見かけました。

いくつかのコーナーを曲がりながら山頂を目指していたその時、カーブを曲がって下ってきた反対車線を走行中の大きなバイクが一瞬何やらハンドルを切り損ねた様子で大きく転倒。センターラインを超えてバイクも、乗っていた若い男性ライダーも横になって私たちの方へ滑り落ちてきました。
転倒を見て運転していた夫が急いでブレーキを踏みました。でもバイクもライダーも滑るのを止めない。
一瞬とは言わないけど、ホンの何秒かの事だったと思います。フルフェイスのヘルメット越しに見開いた目を見ました。
あり得ない!私たちの目の前でこの人が死んでしまう!
その時、思いました。
幸いこちらは上り坂だったためにすぐに停車しましたが、ライダーはボンネットの陰に消えて視界から見えなくなりました。間違いなく車が何かに当たった音がして、私たちは車から飛び出しました。
「大丈夫ですか!!?」
どうみても大丈夫 ではない。
停車した目の前に横たわって人は息はあるけれど、明らかにぐったりしていました。
ツーリング仲間、併走していたと思われる女性 がトンできて、すがりつくように身をかがめ、彼の名前を叫んでいました。
彼はただ呻いて白目を向いて、泣くのではなく、わぁわぁ、叫んでいまし た。
他のツーリング仲間がトンできて「救急車!きゅうきゅうしゃ!!」と携帯を持って耳にあてていましたが、「つながらない!!」
私の携 帯はすぐつながりました。
山頂近く、携帯会社に寄っては繋がらず、その時何人も集まりましたが、つながったのは私と夫の携帯だけだったと思います。
「車と転倒してセンターラインを超えてきた大型バイクが大きな事故を起こしました。バイクに乗っていた男性が怪我をしています。命に関わるかもしれません。大至急救急車お願いします。」
とにかく落ち着いて状況を話さなきゃ、と思いました。
転倒した男性は助からないように見えました。
出血はないようでした。
でも言葉掛けに反応しません。
「寒くないですか!?寒くないですか!?」
標高が高くなり気 温は低くなってきています。コートを着ていないと寒くて仕方ない。
私のコート、夫のフリース、あるものを集めて彼に掛けました。

明 らかに救急車がくるのに時間がかかる場所です。
「はやく!はやく!」ここで声にしても救急車が早く来るわけではありませんが、どうしていいか分からない私たちは彼を囲んで、「しっかり!」「意識をしっかりもて!!」代わるがわる大きな声で声をかけるばかり。
ああ、何も手助け出来ることがない。
こんなに近くにいるのに。

そんなとき、通りがかった四輪駆動車から、ジージャンのよく似合う女性が降りてきました。
「どうなさいました?」
女性は袖をまくって、恐る恐る彼を囲んでいた私たちより中に歩み寄り、
「ナースです。事故ですか?何時に起きましたか?」と色々事情を聞きながら、脈を測ったり怪我を確認してます。既に事故から30分くらい経っていたんじゃないかと思います。
事故直後、様子が おかしかった彼も、意識がしっかりしてきているようでした。
「お名前はわかりますか?ー生年月日は。おかしいことを聞くようだけど、今日は何月何日?」
ナースはテキパキと動き、周囲を安心させました。
すがるような目で観ていた私に気付き、「これだけ時間が経っていて、意識がこれだけあれば、大丈夫だと思う。」と小さくつぶやいて、
「ああ・・・、よかった・・・。」
祈りの手を結んで何処に祈って良いのやらやりばなく思っていた私も、救われた思いでした。
事故直前直後の記憶はないようだけれど、併走していた彼女に何度も聞いていました。
「おれ、どうしたの。」
「バイクで転んで事故にあったの。」
「おぼえてない。」
また、1分もしないうちに彼は聞く。
「おれ、どうしたの。」
「バイクで転倒して車にぶつかったの。」
彼女はその度にきちんと話します。
ああ、このふたりは付き合っていて彼女の方が年上なのかもしれないなぁ。社会人だろうな、しっかりしているなぁ。
なんて少し感じる余裕が出てきたけれど、救急車はナカナカ来ず・・・。

事故から約1時間後。
途中ドクターヘリのドクターを乗せて、救急車がやってきました。
救急車は彼と彼のヘルメットを乗せて、大きな設備のある病院へ移動しました。

カーブ

警察が駆けつけたのはそれから更に1時間。
私たちは3時間もその場にいて、事故の検証をしました。
が、調書を作成するにはその日は不十分だったらしい。諏訪の御柱祭りのため、警察署は人手不足。私たちはこの連休中に署の方に出頭しなければならなくなりました。

それが先日のお話しなのです。

時刻は16時近くに なっていて、山頂を目指しても白駒池を歩く時間は無いように思え、私たちは予定を諦めることにした。ところがア
ンががっかりして泣き出したので、少し気分転換をさせた方が良いのかもしれないと、尾白の湯に向かうことに。
途中、夫の携帯が鳴って、負傷した彼と一緒に走っていた彼女から。
いろいろと細かく検査して命には別状がない、と。骨折もしていないと。
安心しきれるわけではないのですが、 命に別状は無いときいて心からホッとしました。

うちの車は新しい車ではないし、途中で止まったら困るけれど、走行には問題がありませんでした。
本当に良かった。
すごく若い方だったのです。こんなことで終わって欲しくなかった。
本当に良かった。事故直後様子が尋常で はなかったのは、脳震盪を起こしていたんじゃないかと思います。今は意識がしっかり戻られて・・、本当に良かったです。
まだ彼は入院中だけれど、 早く回復して社会復帰出来ることを祈っています。

事故5分前には夢にも思わない平穏な1日が過ごせることを信じていました。
だけ ど事故に遭ってこれほどショッキングなことが起こるなんてと・・。
何があるかわかりません。
けれど、あの時生死をさまよっているかもしれ ない方に、私たちが出来たのは救急車を呼ぶことと、服を重ねて保温することだけでした。もっと知識があったら彼の痛みを和らげることが出来たかもしれない、というのが夫と私の共通の反省です。
近く救急処置などの勉強もしたいと思いました。それから、ツーリング仲間さん達が彼を囲んで「意識をしっかり持て!」とか「寝るな!しっかりしろ!」としきり言っていたのですが、これは意味のあることなのかを確認したいと思っています。
寝てしまうと 体温が下がるから危険度が増すのではないかと、素人的に解釈しています・・・・。

北八ヶ岳 展望台

 

場合によってはこの記事を削除する可能性もありますが、私のゴールデンウィーク初日はこんなに大変だったんです・・・・。

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